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小さなミラクル通信

一日ひとつ小さなミラクル = 心のサプリ

キキョウのつぼみをつぶす娘

秋の花とばかり思っていましたが、キキョウは夏から9月ごろまでが開花時期のようですね。花びらは青紫の星形でなんとも楚々とした風情です。子供の頃に家の庭に咲いていて、母が切って花瓶にさしていたように思います。

 

とてもきれいな花ですが、当時3歳位だった私にはその有難味は分からなかったのでしょう。いつも遊んでいる庭に咲くお花くらいの感覚だったと思います。

 

 

開花すると青紫の花ですが、つぼみのうちは薄緑色の花びらがピタリとくっつき合って、風船のような形をしています。

 

 

そしてある時その風船が、いたずら好きの3歳児の目に留まりました。手でそっと触ってみるとなんだかフカッとしています。もう少し指に力を入れると、ポンと音を立てるような感じではじけて風船が割れました。

 

その風船が指先で割れるような感覚がなんとも心地良くって、3歳児は次から次へとつぼみを割っていきました。そしてほとんどのつぼみをつぶし終えた頃、母が庭に出てきました。

 

 

最初の母の言葉は全く覚えていません。でもそのあとで「もうこれでキキョウは咲けなくなっちゃったのよ」と悲しそうに言ったのをぼんやり記憶しています。

 

そしてその時やっと、あの薄緑の風船が青紫のお花になるんだということが分り、私はワーッと泣きだしました。なんだかすごく悪いことをしたようで、とても苦しくなりました。人生初の「後悔」を経験した瞬間でした。

 

その年、もう新しいキキョウの花は開きませんでした。キキョウはいったいどうなったのでしょう。庭でそれ以降その花を見た記憶がありません。

 

しかし今でもどこかでキキョウを目にすると、あの時の何ともしがたい思いがうっすらと胸に浮かんできます。